最後村の宿り娘

「ついにここまできたな……!」

ここは通称――《最後の村》。
冒険者の間ではそう呼ばれている。
魔王城に一番近い村であることと、この村に辿り着いたと思われる冒険者たちがみんな消息不明になっていること……それらから畏怖の念も含めてその名がつけられた。

見上げると山の頂にはそびえたつ魔王城が見え、旅の終わりを感じさせる。
十数軒の家屋が立ち並ぶ小さな村。実際に来てみると集落のようで、人口はかなり少なそうだ。それでも魔王城がこれほど近くにあるにもかかわらず魔族に支配されずに残っているというのは、もはや奇跡といっても過言ではないだろう。

魔王を倒すのは俺の使命だ。
俺の故郷は魔王軍に滅ぼされ消えた。それ以来、復讐心に駆られた俺は魔王を倒すためにレベル上げをしながらひとりで旅をはじめた。

現在のレベルは99……ソロで地道に旅してきた俺はなるべく弱くて経験値の多いモンスターを狩り、効率よくレベルを上げていく。ソロだと経験値が分配されない分レベルが上がりやすい。冒険者はパーティ行動が主流だから、おそらくレベルがカンストしたのは俺が最初だろう。
あとは魔王と1対1にさえ持ち込めばきっと勝てる。
勝利は目前なんだ。


……最後の村、来訪初日。

今日は日も暮れているし、魔王城へ向かうのは明日だ。
宿屋に泊まって英気を養おう。

「ようこそ……冒険者さま」

宿屋に入ると出迎えてくれたのは年端もいかない少女だった。
袖のない白のワンピースはおおよそ従業員としては似つかわしくない格好だ。肩まで伸びているこの辺ではあまり見かけない黒い髪は、少し赤みを帯びていてやけに艶やかにみえる。

「一泊1000Gです」

宿屋のカウンターごしに少女がつぶやく。
ここの受付であることは間違いないようだ。
1000Gは一般的な宿屋の宿泊相場にあたり、高くも低くもない値段。

――現在の持ち金は10000G。
旅に必要な最低限度の物だけ持ち歩いていた俺は、金も節制するためにほとんどを冒険者ギルドに預けていた。しかし外には強力な魔物も多く、野宿はできない。ありがたく泊まらせてもらおう。

「お客さん少なくて経営が苦しくて…すみません。……そのかわり魔王討伐のためにいらっしゃったお客さまには特別待遇させていただいてます……」

「………」

魔王を倒しに来たとは一言もいってないけど……まあわざわざこの村へ来る冒険者の目的なんてひとつか。よくみると建物もボロくなってるし、このランクで一泊1000Gはやや高め……

「あ、あのぅ……」

“ぎゅううっ~……”

小さく柔らかな両手が、カウンターに乗せていた俺の左手をそっと握りしめる。

「…………え??」


――思わず目を見開いた。
えりなちゃんの後ろにゆらゆらとゆらめくピンク色の、先っぽにハート型をした突起のある紐状のものが伸びていた。長い旅の中で同じようなものを何度か見たことがある。
これは淫魔の……尻尾だ。

「えり…おまえまさか……サキュバスなのか!?」

思わず距離を取ろうとする。
だけど俺の手を掴んだえりなちゃんの手は、か細く弱々しい手であるにもかかわらず、何かの魔力を帯びているようで引き離すことができない。いや、むしろ……

「まってくださいっ!……えりなは確かにサキュバスです。でも、悪いことはしません。えりなは魔王の支配下にはない独立したサキュバスなんです。ここに宿屋を建ててニンゲンさんたちにバレないよう、こっそりと暮らしてます。冒険者さまの邪魔なんてしません……。それでもえりなのこと……やっつけちゃいますか?」

握られた手の甲を指先がそっとなぞる。
その指はくるくると円を描き、描いた数だけ、その手を解こうとする力を俺の中から奪っていった。

「ねぇ~……冒険者さまぁ……」

えりなちゃんの大きな瞳が俺を覗き込む。
可憐な幼い瞳の瞳孔には光というよりは深淵がみえ、奥へ、奥へ……身体ごと引き摺り込まれるような錯覚に陥るほどの魔性の魅力を感じた。

(なん、だ……さっきから……頭が……
 まずい。この娘……ただのサキュバスじゃ……)

視界がぼやけて霞んでよくみえない。
なのに、えりなちゃんの姿だけは不自然なほどくっきりとよく見える。

「ほら……きもちを楽にして……えりな……良い子にしてます。こんな非力で小さなサキュバスに、大したことはできませんよ? できることといえば~……冒険者さまへのご奉仕くらいですぅ……♥」

スウッと目と鼻の先にまで近づくえりなちゃんの顔。
白く絹のように透き通った肌に見惚れ、欲情は更に昂っていく。

「はぁ、……はぁ…………っ!!」

「おちんぽ……くるしいんですね……。
 かわいそう。えりなが慰めてあげますよ♥」

“ズポォ……っ!!”

ズボンのウエストから二匹の白ヘビが侵入する。
10本の指先が亀頭に添えられ、そのまま竿の根元までずるりと下ろされる。イキリ勃った肉棒の両脇を包み込んだやわらかな両手は、これからやって来る至福の時間をいやでも予感させた。

「えりなのおててまんこでぇ……冒険者さまの、たべちゃいましたぁ♥ もういやいやしても逃げられませんよ……♥ 互い違いにさきっぽから根元までずるぅ~、ずるぅ~、っておててで擦るとぉ…男の子はみんなお顔とろかせてダメになっちゃうんですからぁ……♥ いきますね……♥ こきこき♥ こきこきこき♥」

“ズリ!ズリュリュ!ズリッズリッズリ……ッ”

「あぁ…! すごぃ………っ。それすごぃ…!」

側面を交互に擦りあわされ肉棒がうねる。そのあまりの気持ちのよさに悦びの声をあげるかのように、先端からは腺液がとめどなく溢れ出た。堪らずズボン越しに手で抑えるが止まらない。弱点をおさえた十指は静止もきかずに暴れ回った。

「とろとろ気持ちいいお汁、垂れてます♥ このお汁がおちんぽに絡むともっと気持ちよくなるんですよ♥ そんなお汁を自分から出しちゃうなんて冒険者さま……やっぱり期待してたんですね♥ えりなとえっちなことする妄想♥ 今日ここで会ってからずっとしていたんですね♥ しこしこしこ♥」

ちがう……と言いたいのに言葉がでてこない。
肉棒に這う触手に、目の前の女の子に、逆らうことをはばかられている。

「ところでこれ……当宿のサービス“手コキ接待”です♥ なので射精しちゃうとサービス料3000Gを別料金で頂くことになりますけど~……いい、ですかぁ? 亀さんすりすり♥ カリ首こりこりこりこりーー♥ しっこしっこしっこしっこ♥」

「あっ♪ あっ♪ いぃ! ……いい!」

丹念に、丹念に。男の弱い部分は全て知り尽くしているといわんばかりにヌチヌチと股間を柔手がやさしく弄る。未知の快感を流し込まれた俺はただあえぐことしかできない。

……えりなちゃんの声はしっかり聞こえている。だけど、今味わっている官能の前には対価として支払うものなんて些細なことに過ぎない。俺は二つ返事で快楽を貪る選択をした。

「ふふふ♥ ……じゃあ汚いせーえきコキ捨てちゃいましょうね♥ えりなのおててに操られて、このままたまたまの中のせーしどぷどぷーっておもらしして果てちゃいましょう♥ えりなにイジめられて溜まったこゆ~いマゾ汁、おてての中に出しちゃいましょうね♥ 亀頭ぐりゅりゅぅううう♥ 竿を上下にごしごしごし~~♥」

目下のズボンの隙間からは、泡を吹いて悦ぶ男根。そしてそれにとどめをさそうと手淫するぬめった艶やかな掌が、ズボンの奥底へと出入りを繰り返しているのがみえる。完全に男をイカせるためだけに動くいやらしい手の動きをみて悟る。
我慢なんて、できるはずがなかった。

「ぴゅっぴゅっぴゅ~♥ ぴゅるる~♥ ぴゅぴゅぅ~♥」

えりなちゃんの囁きと共に勢いよく欲望の塊は吐き出される。生きてきた中で一番の快感ともいえるほどの射精を味わい、俺はその場で倒れ込んだ。

「お部屋のベッドまでお連れします。それと寝る前に、サービス料はお願いしますね……♥」

部屋まで行くと俺は朦朧とする意識の中、金だけを支払いすぐに眠りについた……。

――――《残り所持金6000G》。

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