「……報告は以上だ」
「夜遅くまでお疲れ様でした、勇者様。お気をつけてお帰り下さい」
――ようやくギルドでの活動報告が終わった。
今日受けた依頼は「サキュバスの討伐」。
4人パーティの俺たちは手分けしてサキュバスの巣を探しだしたが、発見した巣の中はもぬけの殻だった。室内に魔力が残留していたことから、さきほどまでここにいたことが伺える。おそらく俺たちが捜索していることに気づき、未然に逃亡したのだろう。
サキュバスの中には魅了した人間と一緒に住み、隠れ蓑として利用する狡猾な奴もいると聞く。憶測になるが――既にこの街に侵入してどこかへ潜んでいる可能性が高い。
戦闘能力こそ低いものの、魅了の力で冒険者を操り、レベルや持ちもの、それに強い心……旅を続けるのに必要なあらゆるものを奪っていくため、サキュバスはかなり危険度の高い魔物として扱われている。この近辺でも多くの冒険者が被害を受けているらしい。
そのサキュバスの名は<リリア>という。
被害者の大半は寝言のようにその名を連呼し、無気力の廃人と化している。
……本来、国王より命を受け、勇者一行として旅をしている俺たちは、ギルドの依頼を受けるようなことはしない。だけど、冒険者たちもかなり手をこまねいていて街への被害は広がる一方。そこで、たまたまこの街を訪れた俺たちに白羽の矢が立ったというわけだ。
仲間には先に宿へ戻ってもらっている――。
俺も早く帰って明日に備えよう。
まだ夜更けともいえない時間なのに、街の明かりはほとんど消えている。
サキュバスは夜に活動的なのもあり、この時間は皆襲われることを恐れて出歩かない。
ここの歓楽街を横切れば、もう数分で宿にたどり着く。
へとへとになった体が悲鳴を上げ始めているが、もうひと踏ん張りだ。
「…………おにーさん」
「ん?」
声の主を探す。
――薄暗い路地裏から体を半分だけ覗かせている人影があった。
赤茶けたローブで全身を覆い、顔もフードで隠れて見えない。声は女のもの……背丈は人間の子供ほどしかなかった。
「冒険者さんですよね。
私とイイコト……しない?」
――……間違いない、淫魔だ。
容姿は見えなくとも魔力でわかる。
あきらかに魔物のソレだった。
「お前……サキュバスだな」
「!!」
驚きで体を反らしたのがみえた。
サッと身をひるがえし、路地裏の奥へ逃げていく。
「待て!!!」
逃げ出したということはやましいことがあるという事。
つまり間違いなく……クロだ。
話が早くて助かる。
ここで捕まえるか始末するかすれば依頼完了だ。
――追いかけた先は袋小路だった。
退路を塞がれた敵の淫魔は丸ごし。
対する俺にはいつもの剣がある。
形勢は火を見るより明らかだ。
「う~……」
「勇者の俺に声をかけたのが運の尽きだったな」
並の冒険者では魔力までは感じても、それが魔物のものかまでは感知できない。魔力だけで様々な情報を知ることができるのは、勇者ならではの感知スキルだといえるだろう。
俺は背中の剣を抜き、かまえた。
「ま、まって……私は悪くない……。冒険者さん達が勝手に私へ精気を捧げていただけ。何もしなくてもみんなが自分から精気を捧げに来るの……私のせいじゃない……私は何も、してないよぉ……」
「では、自分から襲っていたわけではないと?」
「うん……」
「悪いがそんな言い訳は通じない。ここで倒されてもらう」
淫魔の言葉ほど信用できないものは無い。
やつらは様々な手段で誘惑し、獲物を刈り取る悪魔だ。
ギルドからは捕獲でも討伐でもいいとなっていたが、仲間の手を借りずに捕獲するのは厳しい。
悪いがこのまま――
「ほんとだよぉ…これが…証拠……みて♥」
「……な、あっ」
ローブの前が淫魔の手によりはだける。
隙間には胸と秘部だけを薄い布で覆っただけの、ほぼ裸の少女が覗いてみえた。
月明かりに照らされ青白く輝く乳白色の肌からは不思議な魔力を感じ、心が強く引き寄せられるようだった。ほんの少し見えているだけなのに、欲情がみるみる込み上げていくのがわかる。
俺は淫靡なカラダの釘付けになった。
「私の身体ってとても魅力的みたいで……巣の周辺で出会った冒険者さんは男女関係なく夢中になっちゃうの……。勝手に見抜きしたり、強引に私のカラダを弄んだり……中には……そのままココに挿れちゃう人も……いるの。人間は淫魔の魔力に当てられやすいみたい……」
つるつるの膣穴が両手で広げられる。
ニチャという音がこちらに届くほど響き渡り、膣の奥から粘性の汁がにゅるりと滴り落ちて地面を濡らす。
「私……濡れやすくて……おま〇こだけじゃないの…。汗もかきやすくて全身がすぐぬるぬるになっちゃうから……その……すごく、イイみたいだよ?」
しなをつくりくねくねとカラダを見せつけてくる。
ローブで見え隠れする胸、お腹、腰のライン、尻、太もも……あまりに扇情的なローブ内の情報量に頭が焼きつきついていかない。
外見は子供なのにカラダは人を狂わす魔性そのものだった。
「はあ……はぁ…………」
「くすっ♥私のムチムチなカ・ラ・ダ♥
触ってみたいって今、思ったでしょ♥」
「ぐ、そんな……おもうわけ……」
「これからはもっと人目につかない所で暮らすようにするよ。
だから……見逃して?♥」
「ば、信じられるわけないだろ……!」
「そんなぁ……ほら、私の眼をみて?
これがウソを言ってる眼に見えるの?」
俺はつい反射的に目の色を確認してしまった。
フードを被って見えないはずの眼。
それが赤くあやしく光り輝き――
俺の脳裏を貫いた。
キィィィィィイイイ―――――♡
「あ、が…ぁ」
握っていた剣が地面に落ちる。
――眼をみて一瞬の間もなかった。
まっさらの空白に頭は染まり、全身の力という力が抜け落ち……果てた。
“とぷん、とぷん、とぷん…………♡”
やさしくて甘い射精――。
肉棒に一切の直接的な刺激はなく、赤い瞳を覗いただけ――それだけで全身は快楽に打ち震え、弛緩し、絶頂とともに白く濁った液が尿道からゆっくりと漏れ出た。
「……ね……ウソなんてついてないって……わかったでしょ……?こんなに気持ちよくしてくれる相手が敵なわけないって、おにーさんならもうわかるよね……?」
淫魔がじりじりとにじり寄ってくる。
まずい――
一旦距離とるべきだ。
体を動かそうとする。
「あぐ…く…くるなぁ……!」
だが――動かない。
両ひざが地面についたまま動いてくれない。
体勢を立て直せない。
手を前で払うのが精一杯だった。
「おにーさんには~……♥
私のこと……もっと知ってほしいな……♥」
さっきの瞳による影響か……脳に直接話しかけられているかのように淫魔の声が反響する。
「私ね、おにーさんがしてほしいことしかしないよ♥イヤがることは絶対にしない♥損することはしない♥よろこんでくれるコト、勇者くんがしてほしいコト……私にしかできないすごいコト……信頼してくれたらたくさんしてあげられるんだよ♥きょうみ……あるでしょ?」
もがいているうちに淫魔はもう目の前まで近づいていた。
ローブがゆっくりと広げられていく。
それはまるで、獲物を狩る捕食器官のようにみえた。
「ねぇ~……」
「『ロリ淫魔とナイショの契約、しよ♥』」
ローブに身体が包まれていく。
俺は何も抵抗することができず――
淫靡な空間へと取り込まれていった。
「《淫魔の抱擁》♥」
「アッ………」
淫魔の身体が薄く輝く。
月明かりだけの夜の路地裏。
ローブの中は暗闇のはずだった。
なのに視界一面にピンクの霧が漂い、少女のおなかも胸もはっきりとみえる。
勇者としての直感が――
絶対に今呼吸をしてはならないと訴えた。
それでも――吸いたいという強い欲求に逆らえず……
俺は一気に深呼吸をした。
(スーーーーー…………)
“むあぁあぁああっぁああ……………♥♥♥”
「これ゛ぇ!!ぎぼぢいいぃぃぃぃぃっっっ!!!!」
“びゅう!びゅびゅびゅびゅびゅ~~~~~!!!!!”
俺の股間は少女の匂いに耐えきれず暴発する。
「すごいでしょ~~♥私の汗や匂いって人間が触れちゃうと性感帯みたいに全身ビンビンになっちゃうんだよ♥感じすぎてわけわかんないね♥そのままおにーさんは脳みその奥までぐずぐずに溶けて、きもちよーくイキつづけるんだよ♥こんな快感、他じゃぜったい味わえないんだから♥たくさん吸っておこうね♥」
顔に両手を回されてがっちりと掴まれ、胸の谷間の汗が顔にべったりとこびりつく。ピンクのフェロモンはぎゅうぎゅうと押し付けられるたび周囲に舞い上がり、皮膚をくすぐり撫で上げ、意思を持っているかのように快感を増幅させるよう弄る。
神経が剥き出しになったかのように全身が熱い。
「ほーら、息を吸って~……」
声に合わせて息を吸う。
「吐いて~」
吐いたその拍子に……
“びゅるっびゅる……びゅるぅ……”
「はぁっ…はぁあぁああ……っ」
「くすっ……お漏らしきもちーね♥」
こんな簡単にイクなんて……。
直接性器を触れられてもいないのに、竿は衰えることなく怒張し続け次の射精への準備を進めていた。
意思とは関係なく膨れ上がる快楽に抗えない。
「ねえ聞いて……。おにーさんは騙されてるよ。淫魔の味方のおにーさんがどうして私を襲ったとおもう?ずっと淫魔のために戦ってきたのにおかしいよね?きっと悪い人にそそのかされたか、操られてるんだよ。でも大丈夫っ!私ならその洗脳を解いてあげられるよ。私のフェロモンで目を覚ましてぇ……♥」
“もふ♥もふんっ♥もふっ♥”
「あふぅ……ふぁぁあああ……」
虚飾に満ちた言葉――
それは理解している。
なのに、この淫魔の言うことを真実だと思い込もうしている。言われたままを受け入れようとしている。
体内ではピンクのフェロモンが蠢き回っているのが心地いい。
まるで俺を新しく作り変えているようだ……。
「私が悪いモノぜんぶぴゅっぴゅしてあげる♥
変なものがつかないように、私色に染まろうね♥」
内側からはフェロモン、外側からは淫魔の肉感と汗が襲い、逃げ場を無くした感情が精液となって零れ落ちる。その精液には今まで培った大切なモノまで混じっていると、残ったわずかな理性でわかった。
だけど自分の意思では止められない。
おそらくもう、手遅れなんだろう。
何度も何度も射精した。
カラダの痙攣が止まらない。
ないはずの精子がまだ出ている。
快楽に夢中でイキ続ける。
俺は使命も何もかも忘れ――
目の前の少女の虜になっていった。
ぎゅむっ♡
(はうっ……やわらかい……)
あどけない表情で無造作に押し付けてくる肢体の柔らかさに庇護欲を掻き立てられる。
耳元に顔が近づき――
「……リ・リ・ア♥」
――ズクンッ…………
言葉を聞いた瞬間、胸の奥まで何かが染み渡っていく。
俺はずっと前からこの名前を知っている……。
心が安らかになるような感じ――
安心感があって……ここちいい――
「私のなまえはリリア……リリアっていうんだよ……覚えてね……♥」
「あ、ああ……」
「リリア……♥リリア……♥リリアだよ……♥
リリア……♥リリア……♥リリア…………ぴゅっぴゅ……♥」
「あぁ……あぅぁ……ぁ」
“とぷん…とぷん…とぷん…”
耳元でナマエを囁かれると溶けていった。
尿道からは服従の証が垂れ流される。
「リリアのなまえ、好きな時に呼んでね♥
言葉にするたび気持ちよくなれるから♥
リリアの奴隷だけの特権だよ♥」
そっか……
こんな大事なことを忘れていたなんて……。
俺は――
リリアちゃんの奴隷として生まれたんだった……。
「一緒に…………行こ♥」
「……………うん」
――3日後、サキュバスの巣の中。
「はぁはぁ……リリアちゃん……リリアちゃん……♪」
仰向けになった俺の上に、ムチムチのわがままボディがのしかかる。
股間に勢いよく打ち付けられたリリアちゃんの局部に、俺の肉棒がずっぽりと納まる。小さい身体からみてアンバランスなほどの肉厚な太ももが竿を縦横無尽にこねくり回し、快感を流し込んできた。
「必死に頑張って溜めたレベル♥
ぜ~んぶここで出しちゃおうね~♥」
リリアちゃんに跨られて数時間――。
もう何度射精したかわからない。
「ぴゅっぴゅっぴゅー♥
レベルを吸い取るぴゅっぴゅっぴゅー♥」
“びゅるるっ!!びゅるぅううう!!!!”
俺の上を踊り跳ね回るリリアちゃんに合わせ、精子がとめどなく噴き出る。
射精するごとにレベルが吸い取られ、俺はもうリリアちゃんの魔力を感じることもできないほどにレベルダウンしていた。
「勇者くんってずいぶんレベル溜め込んでたんだねー♥はじめてリリアのおうちに来た時は4人とも強そうで、リリアじゃ敵わないな~って思ったけど……勇者くんがひとりの時を狙って正解だったよ~♥
ぬちぬちと音を立てて圧迫してくる太ももの上から少しだけ覗かせる亀頭は、精液や汗、リリアちゃんの分泌液……あらゆる快楽物質に溢れ、悦びの涙をこぼしているようにさえみえる。
レベルを吸われる瞬間は天に召されるほど気持ちよく、本当に死んでしまうんじゃないかと思えるほどだった。
――このまま死ぬのかもしれない。
でも、リリアちゃんに搾り殺されるなら俺は――
ふとーー左手に目がいく。
薬指にはめられている指輪――。
それがわずかに光っていた。
確かこれは誰かからか受け取ったものだ。
なんだ――
大切なコトを忘れている。
俺の……
今なすべきことは……
“ずりゅりゅりゅりゅりゅううう♥♥♥”
「はぁあぅううう♥♥♥♥」
太ももがずぶずぶと絡みつく。
肉棒だけじゃない。
理性、信念、やるべきこと。
自分をかたどるモノがこの肉の中へ沈み込んでいく。
快感と共に吸い込まれていく。
「しゅごいぃぃ……ふぁぁ……♪♪」
「余計なコト考えちゃダメ♥
えっちなコトしか考えちゃダメ♥
ムチムチふとももきもちーでしょ♥
リリアはいつでも一緒だよ♥
いっぱい溺れて♥
たくさんぴゅっぴゅ♥
それだけしてればもういいの♥
ぜんぶポイポイ捨てちゃって♥
あとはリリアに任せてね♥」
完全魅了された心はもう状況を疑わない。
あるのはリリアちゃんの言葉だけ。
リリアちゃんだけいればいい。
「リリアは勇者くんの得になることしかしないよ♥淫魔のカラダでぬきぬきする気持ちよさ、もう忘れられないでしょ♥淫魔のカラダに魅了されるとしこしこ止まんなくて幸せでしょ♥これからはいつでもリリアがシてあげられるよ♥」
囁かれる声が脳内を侵すようにこだまする。
冷静に状況をみる判断などとうにできるはずもなく……――
「おい!サキュバス!いるんだろ!?でてこい!!」
――…………。
巣の外からどなり声が聞こえる……。
「これをみて♥」
リリアちゃんが指をさすと空中に映像が浮かび上がり、そこには外の様子が映し出されていた。
戦士の男1人と魔術師の女2人がみえる。
「この人たちは悪い人だよ♥
リリアこのままじゃ倒されちゃ~う♥
こわいよ~♥
勇者くん助けてぇ♥
リリアのために戦ってぇ♥
悪いやつをやっつけてぇ♥
ねぇ……♥
お・ね・が・い♥」
うんうんと虚ろに頷く。
リリアちゃんの言う事を聞いてさえいればいい。
それだけでいいんだ。
俺はただの奴隷だから……。
「もし無事に倒せたらぁ…… 今度はこの中でおちんちんかき回していいよ♥淫魔の肉壺でぬぷぬぷぴゅるぴゅる♥たくさん中出ししてた~くさん子供作るの♥淫魔と勇者の子供なんてすてきでしょ♥はやくリリアといっしょに、なろーね♥ぎゅむぎゅむ~っ♥」
リリアちゃんか両手を背中にからませ抱きついてくる。
尚も太ももが触れている肉棒はひくつき、空っぽになった精巣は精子を出そうと試みている――だけどもう何も出ない。伽藍洞の身体はそれでも反応してイキ続けていた。
「一緒に……なりたい」
「うんっ!じゃあぜんぶ片づけちゃお♥」
「はひぃぃ……♪」
視界が暗くなっていく――――—
――――—
――
リリアちゃんからレベルを一時的に分けてもらい、俺の身体は強さを取り戻していた。
……むしろ淫魔の力が付与された分、前より強くなっている気がする。
巣の入り口に待ち構えていたのは3人。
戦士は見た所、硬さだけが取り得のデクの棒。
残り二人の女はサポート役の魔術師だろう。
まともな攻撃役のいないパーティだ。
いまの俺ならひとりでもいけるだろう。
「目を覚ませ!」だとか「サキュバスと一緒だなんてどうしちゃったの!?」だとか意味不明な言葉の羅列を投げかけるし、魔術師のひとりに至っては泣き崩れているが……敵のすることに俺は惑わされない。
どこかでみた顔な気もするが……。
倒したあとにでも考えるか。
「はいこれ♥
がんばってね♥」
リリアちゃんから手渡されたもの。
それは禍々しくいびつな形の剣だった。
――変わってしまったけどわかる。
これが俺の今の武器だっていうこと。
リリアちゃんとの愛の形だということ。
……正直、負ける気がしない。
リリアちゃんを守るため。
俺は――その剣を抜いた。
(bad end)